資本性ローン

不思議な借入・・・

「資本性ローン」とは、借入を行うことによりその後の金融機関からの融資が受けやすくなるという不思議な借入です。それはどういうことなのでしょうか? 

資本性ローンとは?

 金融機関が最も重視している財務指標のひとつが「自己資本比率(自己資本/総資本)」です。自己資本比率が高いという事は、他人資本(借入等)への依存度が低いという事になりますので、それだけ経営が安定していると判断できます。

 自己資本を増やす方法は2つです。「増資により資本金を増やす」もしくは「税引後利益を出す」です。しかし、日本の中小企業の場合、代表者(ご家族を含む)以外の第三者が株主となるケースは少なく、資本金はあまり増えません。また、満足な税引後利益を出し続けることも容易ではありませんので、多くの中小企業は自己資本が脆弱な状態にあります。 

 自己資本が脆弱な企業に対しては、金融機関は積極的に融資が出来ません。その対応策として、金融庁は、中小企業の特性を考慮したいくつかの解釈を認めています。例えば、自己資本が脆弱であっても、「代表者の個人資産がある場合」「代表者個人からの借入金がある場合」などは、それを実質自己資本とみなしても良いといった解釈です。そういった解釈の中のひとつに、「資本的劣後ローンの取扱」というものがあります 

 資本的劣後ローンとは、長期一括返済型の借入です。種々の要件はありますが、実際には負債であるにも関わらず、金融庁は、この借入を「実質自己資本とみなしても良い」としています。

企業側にとっても、長期間返済義務の無い資金が入ることで経営が安定するうえ、財務内容が改善されるという借入です。

日本政策金融公庫が取扱っている代表的な制度を紹介します。 

 

制度名   :挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)

利用限度  :3億円

利率    :決算の業績に応じて3区分の利率が適用(0.4%から5.95%

融資期間  :51ヶ月、7年、10年、15

返済方法  :期限一括償還

担保・保証人:無担保・無保証人

 

 以下のような企業様にとって最適な制度です。 

・足元の業績は黒字だが、過去の赤字によって債務超過や実質債務超過に陥っている。

・一時的に債務超過に陥ってしまったが、今後の回復の見込みが明確である。

・業績は回復しているが、リスケの解消までには至っていない。

 

 なお、利用にあたっては、事業計画書の策定や融資実行後の報告などが必要になりますので、資金調達の経験豊富な税理士にご相談されることをお勧めいたします。

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